最終更新日 1999年12月21日 |
【特集・川で遊ぶ】カヌーの里/日野町 |
日野川で思いっきりカヌー |
大山王国 特集 川で遊ぶ リバーカヤックに乗って水上散歩 一度でも体験すると、その素晴らしい世界のとりこになるといわれるカヌー。子どもは大いなる冒険におとなになりおとなは川遊びを思い出して子どもに帰る。いつのまにか自然とひとつになって、心地よい浮遊感にハマッていた。
鳥取県の三大河川のひとつに数えられる美しい日野川。オシドリが棲む町としても知られる日野町には、その日野川を舞台にした「カヌーの里」がある。ここでカヌーに初挑戦したのは、田村香理さんと橋尾礼子さん。 カヌーの達人、坪倉寿樹さんの言葉に身を引きしめて、ライフジャケットとヘルメットを身につける。まずは水をかぐ道具のパドルの持ち方や使い方を教わり、岸辺で簡単な練習をする。 もっと説明があるかと思っていたが、ストロークの練習が終わるやいなや坪倉さんがカヤックを川に浮かべた。 アザラシを狩猟するカヤック、ビーバーの毛皮を積んだカヌー 「カヌーと一言にいっても、その種類はさまざま。キャンプや激流下りなど、乗る目的によって形や構造が違います。競技カヌーにはスラローム、ロデオ、ワイルド・ウォーターといった種目があって、それぞれにテクニックも違っているんですよ。じつに奥が深いものなんです」 カヌーはおおまかにいうと、カナディアンカヌーとカヤックに大別される。カナディアンカヌーはデッキがオープンになっていて、ひざ立ちや正座で乗り、水をかぐ櫂が片側だけについたパドルを使って漕ぐ。かつてビーバーの毛皮の運搬に使われていたそうだ。 一方、カヤックは足を伸ばして乗り、両側に櫂がついたパドルを使って漕ぐ。もともと極寒の地に住むイヌイットたちが海獣を捕獲するために乗っていた舟で、そのルーツは四千年ほど前にさかのぼるという。 日本ではカヌーもカヤックもひとまとめにして「カヌー」と呼ばれているが、アメリカやカナダではきちんと分けられているので気をつけたい。北米を旅するとき、カヤックに乗ろうと思って「カヌーに乗りたい」というと、カナディアンカヌーが登場なんて目に合うからだ。 坪倉さんが選んでくれたのは、二人が初めてということもあり、リバーカヤックのなかでも安定性と直進性にすぐれたファンカヤック。幅が広くて、どっしりとした感じだ。まったくの初心者でも扱いやすい、というのだが・・・・・。 パドルの動きがぎこちない。肩に力が入って、ぎくしゃくしている。水面のかきが浅いために、なかなか前に進めないようだ。橋尾さんは流れに逆らって漕いでいるつもりが、まるでカヤックが止まっているように見える。 ひとあばれして集中力の途切れるころを見はからい、坪倉さんが手を休めた。二人もストーロークをやめて、日野川の流れに身をまかせた。さっきまであたふたとしていた川が、不思議なほどおだやかな表情になる。静かに時間だけが流れていく。 日野川は四季はもちろん、一日のなかでも景色の変化があるという。毎週のように来ていても、同じ風景はないと坪倉さんは言う。「川のやさしさや繊細な感じが伝わってきたり、鳥の声が聞こえたり。川から見ることで自然をすごく身近に感じられるんですよ」 ひと昔前、川は子どもたちの遊び場だった。魚やザリガニを追いかけ、青空の下で泳ぎをおぼえ、一日中、夢中になれる場所だった。びしょぬれになって、時間を忘れて遊んでいたのに、いつから遠ざかってしまったのだろうか。 「さぁ、もうひと漕ぎしましょうか」と坪倉さんの声が聞こえた。二人の顔がほころんだ。腕の動きがかなりスムーズになってきている。少しずつ、思った方向に進めるようになっているようだ。グイッという感じで、上流に進んでいく。カヤックの方向を変えるストロークもなかなかのものだ。 坪倉さんが子どものように目を細めて笑った。カヌーはいい。大人になっても夢中になれる川遊びを体験させてくれた日野川が、おだやかな顔で流れていた。 |
■お問合せ | 日野町教育委員会 TEL0859-72-2107 |
■期間 | 4月〜10月 (気象状況により変更) |
■料金 | カヌー 艇1000円(1日使用) |
休息所100〜200円(1時間) | |
■その他 | 使用に際しては指定の申込書の提出と、使用する団体内でカヌー指導者がいること。カヌー教室については予約が必要。 |
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掲載担当者 | staff |
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